えごま油の素朴な疑問・質問 Q&A (11) [健康と食習慣]

最近よく聞くDHAやEPAですが、魚の脂肪成分だそうですが、どんな効果があるのでしょうか?詳しく、なるべく分かりやすく教えて欲しいのですが。】(埼玉県加須市 女性Iさん)


[ひらめき][ひらめき]

一般的に「脂肪」といえば、その構成主成分の分類によって、飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸、及び多価不飽和脂肪酸に分けられます。

食物では、飽和脂肪酸は、おもに牛や豚など動物性油脂類に多く含まれるほか、植物性油脂類ではポテトやスナック類といった揚げ菓子によく使われるアブラ椰子から製油されたパーム油に多く含まれており、常温ではほぼ固形です。

一価不飽和脂肪酸の代表格は、オリーブ油の主成分であるオレイン酸です。こちらは常温では液体です。

以上の2つの脂肪酸は、非必須脂肪酸(人の体内で生成が可能な脂肪酸)であり、食物として過剰摂取されると体内の脂肪細胞に蓄えられ、中性脂肪を増やし、結果肥満やメタボにつながります。また、血中のコレステロール値を高め、動脈硬化や脳卒中などの生活習慣病を引き起こし易くします。ですから、摂取を控えるべき要注意の脂肪分と言えるでしょう。欧州では、飽和脂肪酸含有の食品に税金をかけて、摂食を制限しようとする国家もあります。

最後の多価不飽和脂肪酸ですが、n-6系とn-3系とに2分類されます。

n-6系の不飽和脂肪酸の代表はリノール酸で、菜種油や大豆油に多く含まれます。
また、n-3系不飽和脂肪酸の代表がα-リノレン酸であり、また最近よく耳にするようになったEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)もその仲間です。これらの脂肪酸は、身体に有用で必要不可欠な成分を多く含みますが、基本的に食物として体外から摂取しなければならない必須脂肪酸(不可欠脂肪酸)と呼ばれます。現代人の食生活バランスでは、n-6系の脂肪酸は過剰摂取気味であり、n-3系脂肪酸の摂食は不足気味だと言われています。

n-3系(オメガ3)不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含む食品には、えごま油や亜麻仁油、くるみ油、インカインチ油などがあります。また、EPA&DHAを多く含む食品に、サバやイワシ、ブリ、鰹、まぐろ、筋子などの青魚があります。

しかし、えごま油などの植物油に多く含まれるα-リノレン酸は、食物として取り込まれると、ヒトの体内ではα-リノレン酸→EPA→DHAへと生成・転換・活用される回路が自前で備えられています。
ですから、新鮮な魚の届きにくかった日本の周縁山間地では、昔から、えごま油は「畑の青魚」と呼ばれて重宝されてきました。


さて、質問の主旨に戻りますが、EPAやDHAを食事の中で、自然にうまく摂食すれば様々な効能・効果が期待されています。

まず、EPA(エイコサペンタエン酸)ですが、炭素錯数が20、不飽和結合(シス)が5個くっついた構造の脂肪酸組成を具え、チムノドン酸とも呼ばれることがあります。母乳に含まれる成分としても知られています。
魚やアザラシを常食とするカナダ北部に住むイヌイットでは、脂肪摂取量が多いにもかかわらず血栓症や心疾患が非常に少ないことから注目されだした栄養素でもあります。
医薬品としては閉塞性動脈硬化症、高脂血症治療薬として商品化・認知されています。
動脈硬化、高脂血症(脂質異常症)、認知症、アトピー・アレルギーなどの予防や改善に効果が認められます。
過剰摂取の副作用としては、吐き気、げっぷ、鼻血、軟便が報告されています。米国FDAの定める摂取規格では、サプリメントからの摂取はDHAとの併用でも1日2gを越えないように指導されています。
特に妊婦では、特定使用用途(医者の処方など)や魚などの食品以外からの摂取は避けるように安全面の配慮が必要とされています。

もうひとつのDHA(ドコサヘキサエン酸)ですが、炭素錯数が22、不飽和結合(シス)が6個のカルボン酸(カルボキシル基をもつ有機酸)です。
生体内では脳や神経組織、網膜、精子などに多く存在し、血中の中性脂肪を減少させ、動脈硬化、高脂血症、心疾患、認知症、うつ病、アトピー・アレルギーなどの予防や改善に効果があるとされています。
また、DHAが不足すると脳内セロトニン量が減少し、多動性障害を起生するということから、脳の発達に欠かせないとされます。
EPAと同様に医薬品としての認知もありますが、過剰摂取やサプリメントでの服用には十分な注意が必要とされます。

EPA、DHAとも、いずれも、もとても損なわれやすく、空気中で酸化されやすい成分です。
サプリメントでも手軽に摂取できそうに考えがちですが、短期間の大量摂取は避け、緊急時の補助的な補給と考える、という位の慎重さも必要でしょう。

やはり食物からの自然な摂取が、バランスの取れた正しい摂食態度と言えるのでしょう。
普段の食事の中で、えごま油などの植物性油脂の調理利用を意識的に増やし、人体自身でのα-リノレン酸→EPA→DHAという身体の営為に基づく循環を活かし、魚食も普段に心がけるという姿勢が理想的な摂食態度ではないでしょうか。
元来私たちの身体には、素材が食として供給されさえすれば、必要とされる時に必要なだけ、有効に、無駄なく循環消費する仕組みが備わっているのですから。


なお、えごま油に関心ある方は、http://www.sunmother.net/ を参照してみて下さい。

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