えごま油の素朴な疑問・質問 Q&A (12) [健康と食習慣]

えごま油に含まれる脂肪分は身体の健康に欠かせないと聞きます。どういう成分のことですか?】(大阪府岸和田市 女性Yさん)


[ひらめき]

えごま油に含まれる油脂分(脂肪分)の主な構成成分は、いくつかの脂肪酸と呼ばれる「長鎖炭化水素の1価のカルボン酸」で構成されています。
さらに、カルボン酸(carboxylic acid)とは、少なくとも一つのカルボキシル基(−COOH)を有する有機酸である、と辞書を引くと書いてあります。

えごま油に限らず、多くの油(サラダ油やオリーブ油、ラードやバターなども)には、油脂分(脂肪分、または脂質)が含まれますが、その構成成分で幾つかの脂肪酸に分類されるのです。


上記の説明では「は?脂肪酸、ちんぷんかんぷんで~す!」と言われてしまいそうなので、誤解を恐れずに大胆解説を試みると、「脂肪酸」とは、ミクロの目で見ると、炭素C(カーボン)が数珠つながりのように鎖状に連なった物質です。
この炭素鎖の連なりが12個以上と多いものを、特に「高級脂肪酸」と呼んで他と区別することもあります。

食べ物の「脂肪酸」に限らず、石油(原油)から作られるガソリンや軽油や灯油、石炭や天然ガスなども、みな同じような炭素Cのクサリ(鎖)が連なった分子構造を持った物質なのですが、これらの共通点はなんだか分かりますか?

答えは、いずれの物質も、この炭素Cの連なりが多い分子構造の物質だということに関わりがあります。
これらの物質の共通点は、いずれも燃料系のものばかりです。
私たちの食物である「脂肪分」=食用油も例外ではなく、身体の中に取り込まれれば、体内でゆっくりと燃やしてエネルギー源、ないしは熱源となります。

すなわち、食料とされる脂肪分やガソリンなどの燃料のような、この「炭素Cの連なりが多い分子構造を持った物質」には、エネルギーが溜め込まれており、炭素Cを切り離す(分離)する段階で、エネルギーが放出されます。
従って、炭素鎖の連なりの多い「高級脂肪酸」のような有機酸ほどエネルギーを多く貯蔵した物質なのです。


食物としての脂肪酸は、体内では脂肪細胞や、細胞のリン脂質などの脂質の構成成分として利用されるほか、生体内ではエネルギー源として好気的に代謝されます。即ち、エネルギーに転換されると共に、分離された炭素Cは酸素2つと結びつき(酸化)、細胞外から体外へ呼気として、即ち二酸化炭素CO2として廃棄されます。

自動車でガソリンを燃やしても二酸化炭素が環境に排出されますが、ほとんど同じことが私たちの身体でも行われているのです。


えごま油の脂肪分に限らず、天ぷら油に使用される菜種油や動物性油脂のラードやバター、チーズなどの食用油成分の「脂肪分」には、上記のような「エネルギー源」としての共通の有用性が認められます。



では、えごま油に特有の「健康に良い成分」とは何なのでしょうか。
これが今回の質問の眼目になります。

まず、えごま油に含まれる脂肪分の主要構成成分は、多価不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸とリノール酸ということになります。これらの脂肪酸は、必須脂肪酸(不可欠脂肪酸)と呼ばれています。

オリーブ油に多い一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸(約11%)や、飽和脂肪酸(約6%程度)のパルミチン酸やステアリン酸も若干は含みます。

しかし、一般的に、α-リノレン酸が約60%、リノール酸が約13%と、二つの不飽和脂肪酸の含有量が「えごま油」には際だって多いのです。

この二つの多価不飽和脂肪酸は、食物として取り込まれた後の体内では、燃料系で貯蔵系の飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸とは、ちょっと違った働きをしています。もちろん必要性があれば燃料系にも転用されることもありますが。


その「ちょっと違った働き」というのが、機能系の働きです。
すなわち、多価不飽和脂肪酸は、私たちの身体の約60兆個といわれる細胞の細胞膜の主要構成成分(リン脂質)に透過性のある原料として使用されます。

もともと多価不飽和脂肪酸は、低温でも固形化しにくいため、変温動物に多く存在していますが、37℃で丁度活動が活性な恒温動物であるヒトの細胞膜にも採用されています。理由は多少の環境変化で低温時でも固まりにくい性質が関係していると思われます。

また、細胞膜の脂肪酸組成のほかにも、ホルモン様(よう)物質であるプロスタグランジン(PG)の原料ともなります。
PGは、一種の細胞間の情報伝達物質です。各種ホルモンの生理活性を促したり、抑制したりします。
皮膚などの炎症・痛み・腫れの調整、アレルギー反応、血圧・心臓・胃腸機能、消化酵素の分泌調整、腎機能と血液の流動調節、血液凝血、血小板凝集、神経伝達、各種生理ホルモンの生成と抑制、筋肉の収縮、分娩誘発など生殖機能の制御、などの機能に関与していることが知られています。

α-リノレン酸は、多価不飽和脂肪酸のなかでもn-3系(ないしはオメガ3)と一般に呼ばれ、プロスタグランジン(PG)の「抑制」作用を司る分野で活躍し、リノール酸はn-6系不飽和脂肪酸と呼ばれて主に「活性」作用に働きます。

たとえば、実証されている例でいえば、n-6系のリノール酸からはアラキドン酸が代謝・生成されますが、アラキドン酸はアレルギーを引き起こす原因物質とされています。
それに対して、n-3系の脂肪酸は、アレルギーやアトピーの抑制・改善に作用します。

このようにn-3系とn-6系の不飽和脂肪酸は、車のブレーキとアクセルに例えられ、互いに活性・抑制関係にあり、役割を代わることのできない関係にあるといわれています。

n-3系の脂肪酸の代表が、えごま油に含まれるα-リノレン酸で、n-6系の脂肪酸の代表が天ぷら油に多用されているリノール酸ですが、現代の食事環境を考慮すると前者は圧倒的に不足気味であり、後者は圧倒的に過剰摂取気味です。摂食の理想の姿は、「1:3」だといわれています。


えごま油の推奨サイト(http://www.sunmother.net/)も、ご参照下さい。

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